このブログについて

はじめに

数十年前のある夏の日だったと思う。

もうだいぶ前に亡くなった僕の爺さんが「この国は立ちいかなくなったから戦争おっぱじめたの。わしらは何も知らずに旗を振って戦争に加担したけど、日本人はバカそのものだったな」と突然独り言を口にした。
爺さんはよっぽど戦時中のことが嫌だったのか、彼から戦争の話を聞いたのはこれが最初で最後だった。僕が覚えていないだけかもしれないけど、彼が話した戦争の話はこれが全てだったし未だにこの「たち行かなくなったから…」と言うくだりが記憶に焼き付いている。

あの頃はまだ戦前生まれ、軍隊あがりの人たちが元気だった。

あるひとはむっすりと過去を押し黙り、またある人は南方の軍隊生活に尾鰭をつけて吹聴して回っていた。南方での武勇伝、どこまでが本気か誰もわからない現地人を何人殺したとかそんな話を平気で自慢して歩く老人、2000年代を生きる僕らが目の敵にする「老害」が裸足で逃げ出しそうなド外道老人が何人もいたことを覚えている。

あれから数十年がすぎ、ド外道な迷惑極まりない戦前の年寄りはほとんど鬼籍に入ってしまった。

戦争というあまりに大きすぎるイベントを跨いで60-70年を生きた人々の中には戦争の経験に限らずいろんな知識や考えがあったはずだけど、ほぼ全ての人々は何も残さずに灰になってしまった。極めて日本人的というか、表現をしたり何かを残すということが苦手だったのだと思う。

時代は過ぎ街は綺麗になりコンプライアンス遵守が当たり前の現代は、過去に比べたら世の中は平和だし平等だ。

その一方でこの国はどことなく行き詰まっていて、値札をつけてはいけないものに値札をつけて売り買いし始めそうなきな臭さが漂い始めた感もある。ほんの3年くらい前は誰も気にしなかったコロナワクチンだとかマイナンバーカードの問題なんてその一例だと思う。

「この国はたち行かなくなると…」

この独り言を思い出すたびに、まだまだ平和な世の中を生きる僕たちではあるけれど、日々のレッスンラーンをきちんと書き残しておくべきだと思った。それって社会問題かもしれないし街中でみつけた美しい光景かもしれない。爺さんの頃にはなかった大きなツールを使ってささやかな意見を残そうと思う。

このブログの目的

いまの時代を生きる1人の人間として、日々感じたことを記録していこうと思う。

一個人が一日に見聞きして考えられることなんてほんの少しだけど、iPhoneのメモ帳に日々書き連ねる思考の断片は一人の人間が作る集合知の断片、時間軸で串刺しにされた知識のミルフィーユと捉えて良いと思う。昨日の自分と今日の自分、遠い過去の自分がその時々に見聞きして考えたことを可能な限り生々しく残しておきたい。

大袈裟な言い方になるけど、遠い未来に誰かの手がかりになれば良いと思う。

書いている人について

医薬の専門教育を終えた後に都市設計・建築と併せて写真や芸術の専門教育を受けたが、夢では食えずに英語と日本語と猫語を操りつつ東京の片隅で無味乾燥な生活を送っている。フィルム写真と自家現像、自宅暗室作業が得意。

更新の方針について

一週間に一回を目標にその週に見聞きしたこと、感じたことを熟成させない生の思考のまま400-800字程度にまとめて書き残そうと思う。

1年を48週として計算すると#001から始めると#999まで20年かかることになるが、多分向こう20年なら僕も生きているだろうし、はてなブログも存続しているだろう。